長崎市河川の自然環境保護



――「ながさきほたるの会」の紹介――

「宙を舞うホタルは光の波となって打ち寄せてきた」

▲現在の長崎の蛍茶屋
愛八が見た美しい情景は、いまはもう無い。(むかしの蛍茶屋

茶屋が、なかにし礼著の「長崎ぶらぶら節」の一節に出てくるのをご存知だろうか?―――明治時代の中頃、主人公・愛八が生まれ育った故郷から、花街・丸山の置屋に芸者として売られてくる途中に通った茶屋で、愛八はホタルが乱れ飛ぶ様に目を奪われる。
「幾百、幾千、いや幾万、とても数え切れない―――つぎには広がって天の川のように流れた」―――現在の「蛍茶屋」では見る事の出来ない情景である。

今の長崎でホタルを見る機会のある場所は、数える程しかない。もし見ることができたとしても正に数えるほどでしかない。今のままでは「幾万」のホタルは到底見れることは叶わないだろう。
「資源を守る」を御旗にかかげた我が組合では、長崎の河川が汚染され、自然環境の破壊が進んでゆくのを見て、このままでは未来の子供達に、自然本来の美しさを残せないことを残念に思っていた。

「人と自然のふれあい」「豊かな街づくり」ながさきホタルの会

たち「ながさきホタルの会」は平成10年4月に発足し、ホタルの保護観察を通じて、長崎の河川の自然環境保護活動に取り組んできました。
日頃それぞれの地域で、環境問題に心を配っている仲間たちが、手を取り合い、お互いに見識を高め、ホタルの清らかな光の輪を広げるために活動を続けてきました。今年(平成16年)で7年目に入ります。
これからも沢山の子供達に、ホタルを通して、”小さな生き物の生命を見つめて欲しい”、人はいろんな生き物 と共生し、生かされていることをしっかり感じ取って欲しいと願っています。 そして、ホタルの光が作り出す無心の喜びを分かち合えればと考えています。―――「ながさきホタルの会読本・蛍より」

▲ホタルの放流式
グラバー園のビオトープでのホタル幼虫の放流。浪平小学校のみんなと、多数の人達が参加。


「ながさきホタルの会」は設立以来、研修会の開催や、冊子「蛍」の発行、蛍の一斉調査等、数多くの活動を経て平成12年度には「長崎県環境美化功労者」の表彰を受けている。
そして現在も2ヶ月に一度の河川清掃作業や、グラバー園にてホタルの幼虫を放流するなど、河川浄化・自然環境保護の為、精力的に活動しているようである。 ホタルマップ



● ながさきホタルの会・長崎市ホタルマップ     


崎は現在観光地として、グラバー園、ハウステンボス、中華街によるランタンフェスティバルなど ”異国”を前面にだしてきた。しかし、前出の「蛍茶屋」のように長崎独自の(長崎を活かせる)隠れた名所はまだ沢山あるはずなのだ。 いま長崎は、不況にあえぎ活気もなく、年老いた老人のように見える。経済の観点からも、自然保護の観点からも「自然と共生しながらの観光地」としての道を、長崎は探るべきではないだろうか。幾千ものホタルが長崎の夜景を彩る・・・「タンポポの綿毛のように、柳絮のように、風花のように舞いながら」
そういった良い環境になるよう、私達組合も「ながさきホタルの会」を応援していきたいと思う。

 

平成17年2月
海洋資源開発協同組合・広報